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最近の一冊 【人材育成】上司が鬼とならねば部下は動かず

本誌、染谷氏は、出版社、社員教育機関を経て、人材育成会社の株式会社アイウィルの代表取締役社長として、上司としての考え方や行動の仕方、部下の指導法など、幹部教育の第一人者として活躍されています。 ある社員研修会社の社長が、「今までの内定者研修は“囲い込み”型で会社人間を作るだけ。しかし大競争時代を迎え、向上心のある自立した社会人が求められる」と言いました。『自立した社員』という言葉をよく耳にしますが、一体どの様な社員のことを指しているのでしょうか?自己を確立し自己主張をする人や、会社よりもプライベートを大事にする人のことでしょうか?会社人間を否定する『自立した社員』とは、会社の為にと思わない社員のことを指しているのでしょう。 このような社員を会社は必要とするのでしょうか?責任感が強く、プライベートの時間を犠牲にしても仕事をやり遂げる「会社人間」こそが、会社が求める「人材」です。 しかも、大競争時代では、単に責任感や仕事ができるだけの社員は、会社が求める「人材」ではありません。 会社が生き残りをかけて戦う大競争社会には、社員がばらばらでは負けてしまいます。競争に勝つ為には社員が一つの意思のもとに一致団結しなくてはいけません。 単に仕事ができるのではなく、会社の方針を理解し、共鳴し、その意思に従って行動する積極型の「会社人間」が必要なのです。松下幸之助は、『会社は人を育てる場所である』という言葉を残しています。人を育てない会社に入った優秀な学生と、人を育てる会社へ入った平凡な学生は、3年後には能力も、人間の出来も逆転してしまうほどの差がつくといいます。それでは、どの様にすれば、凡人を人材へと育てることができるのでしょうか
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■1つ目のキーワードは  「共通言語を持つ」です。 

『給料』という言葉を、社員は、「毎月定額支払われている生活費で、毎年上昇するもの」と理解し、経営者は「能力と働きの見返り。会社の業績が悪ければカットもダウンもあるもの」と理解している場合、両者で意思疎通を図ることはできるでしょうか?

社員の意識を高める為に、「社員とよく話し合う」という社長がいます。
コミュニケーションは“相手を理解する、相手に理解されること”によって成立しますが、用いる言葉が通じなければコミュニケーションは成り立ちません。
社長が話しかけても、社員がそれを理解できないのであれば、いくら話し合いをしても無意味です。つまり、社員と話し合いを行う前に、社長と社員は「共通言語」を持たなくてはならないです。そのためには、社員に社長の言葉を覚えさせることが必要となるのです。

侍の子は、5歳の頃からその意味を知らなくても、「論語」を丸暗記したといいます。
意味は分からないが、暗記することで、潜在意識に刷り込まれ、それが大人になってからの行動や生き方を規定したのです。
「共通の言語」を持たせる為に、社員が持つ言葉を入れ替える必要があります。
そのためには、言葉を暗記させることがなによりも効果的です。社長の言葉を「格調高くまとめ」毎日唱和する。このようにして社長の言葉を注入し、社員が持っていた言葉を入れ替えることで初めて、コミュニケーションの土台となる「共通言語」が生み出されてくるのです。

ろんご 【論語】
中国、春秋時代の思想家孔子とその弟子たちの言行録。四書の一。二〇編。戦国時代初期から編纂(へんさん)が始まり漢代になって成立。「仁」を中心とする孔子およびその一門の思想が語られ、儒家の中心経典として中国伝統思想の根幹となった。日本へは応神天皇の代に伝来したといわれ、早くから学問の中心とされた。

――読みの論語知らず
書物の内容を頭で理解するだけで、それを社会生活の中でどのように実践すべきかに思い至らないことのたとえ

■□2つ目のキーワードは  “秩序と規律を叩き込む“です。

サッカーワールドカップアメリカ大会でブラジル代表を率いたザガロ監督は“携帯電話を使うな”、“監督の許可なくホテルから外出するな”、“監督批判は厳禁”等、14項目を『ザガロの14戒』として文書で示し選手に守らせました。 個性派揃いのブラジル代表に対して、細かい規律を設けることは矛盾している様に思えます。しかし、ザガロ監督は選手が規律を守らなければチームは成り立たたず、試合に勝てないことを知っていたのです。
競争に勝つ為には、何よりも社員が一つの意思の下、一致団結していなければなりません。
だからこそ、会社は、秩序と規律を重んじる戦闘集団でなくてはいけないのです。
 つまり、会社は俗に言う“民主的“運営が不可能な組織といえるのです。
会社にとって、上司の命令に従わず、職場の規律を守らず、反会社の言動をする社員はどんなに優秀であっても、人材ではなく不良社員なのです。

 “民主的平等”や“個性の尊重”を重んじる戦後教育を受けてきた世代には、家庭や学校にも上下関係という意識はほとんどありません。 この環境で育った社員は、会社は平等、上司に対しても、自分を尊重し自分の言うことを聞いてくれることを求めます。

しかし、会社は組織秩序と規律を維持する為に、上司が部下の行為を強制しなくてはいけません。だからこそ、正当な強制が行われ、それが自然に受け入れられる意識を持つ人間の集団にしなくてはならないのです、 そのためには20年以上もだらけた空気を吸ってきた社員と、話し合いや議論をしても時間の無駄なのです。
 戦う集団として、“命令に従う、秩序と規律”を叩き込み、組織のルールを守らせるためには、上司が問答無用で命令を「強制」し、それに部下が耐えることでしか変えることはできないのです。強制に耐えられない人は、組織を離れていくでしょう。
しかし、この強制に耐えきった人だけが、会社にとって健全な意識を持つ一人前の社員なのです。

■□3つ目のキーワードは  “二十年後の大木を目指す“です。
 戦後日本の復興の中心にいたのは、陸空海軍の軍人でした。
特に海軍兵学校出身の軍人は政官界や教育界、実業界など幅広い分野で指導者として目覚しい貢献をしたといいます。この様な人材を生み出した海軍兵学校の教育目標は、「20年、30年先の将来、大木に成長すべき人材のポテンシャルをまたしむるに在って、目先の実務に使う丁稚を養成するものではない」とし、戦時中であるにも関わらず、英語の廃止や基礎教育の時間の削減を認めなかったといいます。

社員教育といえば、「セールス研修」や「技術研修」といった実務研修で事が足りると考えてはいけません。確かに、実務能力を向上させれば、短期的な利益に結びつくかも知れません。
 しかし、社員教育を、現場の仕事に直結する実務教育に限定し、それよりも広い範囲の教育を不要とする会社は、人材を得ることはできません。
 海軍兵学校の例からも、組織の柱となる人材とは、幅広い知識と豊かな教養を身につけ、思考力と行動力を発揮できる総合力の高い人間なのです。
「読む」、「話す」、「書く」という「人間」の基本能力の上にしか、理解力、表現力は生まれません。そして問題を発見する力、企画する力は理解力や表現力の上にしか生まれてこないのです。人材を得る為に、会社は学校ではありませんが、基礎教養を行わなくてはならないのです。十年後二十年後の大木を得るために、実務とかけ離れた人間教育に時間を掛ける意思が経営者には求められるのです。

『上司が「鬼」とならねば部下は動かず』から人材育成のヒントを得ることはできましたか、社長が「部下が期待通りの働きをしてくれない」と嘆いても仕方がありません。
戦う組織にふさわしい戦闘集団は、お互いが何を考えているのかが分かる『共通の言葉』を持ち、“秩序と規律”を守る社員で構成されなくてはいけません。

そのためには何よりも、社長が社員を『人間』として、育てていくのだという気持ちがなくてはならないのです。


なんて、簡単じゃないです。
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by kibmx | 2006-07-16 01:11
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